万葉集と防人の歌
春過ぎて 夏来たるらし 白たへの
衣ほしたり 天の香具山
短歌ファンならずとも、誰でも一度はこの歌を読んだことがあるのではないでしょうか。
古代日本の、雄大でゆったりとした時間の流れを感じさせるこの歌は、万葉集第一巻に収録されている持統天皇の詠んだ作品として特に有名です。
この歌に代表される万葉集は、歌集としては日本最古であり、短歌、長歌、旋頭歌、仏足石歌など様々な形と長さを持った歌が収められています。
その内容は数にして4500首有余、全20巻に及ぶ膨大なもの。
万葉集の魅力は、持統天皇をはじめとした諸天皇のほかに万葉歌人といわれる柿本人麻呂、山部赤人、山上憶良、大伴家持など有名な作者の作品にあるともいわれています。
しかし、東歌、防人歌などの無名の人々の歌が数多く集められていることも忘れてはなりません。
中でも「防人歌」は、玄界灘沿岸の警固にあたった兵士や彼らの家族の哀歌であり、当時の庶民の生活感情を今に伝えてくれる大切な文学です。